私は恋を知らない、はずだった
黒石遼
遼side
「はぁ…」
俺は、黒石遼。今丁度入学式で、校長が話しているところ。
俺が入ったこの高校には姉がいて、この高校に入った理由がその姉の友人だ。
まずどこで知り合ったのかと言うと、姉が家に連れてきて、その姿を見ていたからだ。
彼女は、姉に連れられリビングに行ってしまった。
姉に、「お前は部屋から出てくるな」と言われたから、部屋を出ないでいた。
そのせいで、顔を合わせたことはなかった。俺が一方的に知っていただけ。
ある時、兄はいいのに何で俺はダメなんだと考え、ちょっとした反抗心から、リビングを覗いて姉の友人の姿を見ることにした。
どれどれ…。
!!! めっちゃ可愛いじゃないか!やっばー。
初めて見た時はこんな感じ。
俺のテンションが上がるくらいの衝撃だった。
彼女は姉に気を許しているのか、無駄にでかいいつも俺が座っているソファーにだらんと横になっていた。
だらんとしているのも可愛くて見とれていたら俺がいるドアの前に兄が来て、
「おい、邪魔だ。お前は綾乃に出てくるなって言われたんだろ。見てるだけしかできなくて可哀想だな。ははっ」
「兄さん…」
「俺はあの子の兄ちゃんと友達だから綾乃に出てきていいって言われたんだよ。お前はそういうの無いだろうなあ」
「…」
「じゃあな、そこで指くわえて見てな」
どうやら兄はプリンを買うために外に出ていたらしい。二つプリンを持っている。
俺は年上なのにパシられてる兄さんの方が可哀想だと思うよ…。