恋慕

「あ・・・
 ありがとう。」

彼は不用意に人に
あれこれ触れ回る子ではないとは
思ったが
確かに人にあのことが知れれば
私は学校を
辞めさせられるかもしれない。

そういう不安も確かにあった。

でもそれに劣らず
私が気を揉んでいたのは
彼に
嫌われてしまったのではないかと
いうことだった。

見るからに
ほっとした顔を
してしまったんだと思う。

彼はふわっと
私に向かって微笑んだ。

「その代わり僕に
 英語を教えて下さい。」

「ええ、それくらいなら・・・。」

「夏休み中、
 夏期講習のない日は
 基本的に市立図書館で
 勉強することにしたんです。」
< 30 / 30 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop