恋慕
「あ・・・
ありがとう。」
彼は不用意に人に
あれこれ触れ回る子ではないとは
思ったが
確かに人にあのことが知れれば
私は学校を
辞めさせられるかもしれない。
そういう不安も確かにあった。
でもそれに劣らず
私が気を揉んでいたのは
彼に
嫌われてしまったのではないかと
いうことだった。
見るからに
ほっとした顔を
してしまったんだと思う。
彼はふわっと
私に向かって微笑んだ。
「その代わり僕に
英語を教えて下さい。」
「ええ、それくらいなら・・・。」
「夏休み中、
夏期講習のない日は
基本的に市立図書館で
勉強することにしたんです。」