2月15日の告白【短編】
2月15日
「つまり、チエさんは。
後輩くんが告白されているのを見て、後輩くんが好きだって気づいて、後輩くんに嫌われてるってことにも気づいて、チョコを階段に置いたまま逃げてきた、と。
バカじゃない?」
バッサリ、無慈悲に言い放ったアスカに、恨めしい目を向ける。
確かに昨日、逃げましたけども。
泣きはらした目の私を捕まえて「放課後詳しく聞かせてもらうから」と言ったアスカが、今、つまり放課後事情を聞いた結果「バカ」と言うなんて。
「傷心の友人にかける言葉はもっと他にあるはずですが………!」
「ないよ。だって、ものすごくバカだもん」
キュ、と眉を寄せているアスカに「そんなにバカですか………?」と問いかける。
どうやら今日は、いろいろメンタルがやられているらしい。
ナギ君のそばにいて、いくら鋼のハートになったからといって、私だって傷つくことくらいある。
「うん、バカ。ものすごくバカ」
そんな私のハートの傷つき具合なんてものともしないように、アスカは言い放つ。
そのいわれように、思わず言い返す。
「だって、だってだって。
あんな風に笑ってるの見ちゃったら、あ、私嫌われてるわって思わずにはいられないじゃん。
私だけじゃん。
いつだって、冷たいのも、ひどい言葉も、私だけじゃん。
『好きな人の特別になりたい』とか、少女マンガによくあるフレーズなんてあんなの嘘だよ。
特別なんていらないんだよ。
もういっそ、普通でいいから、好きでも嫌いでもなく普通でいいの」
滑り出した本音が止まらない。