2月15日の告白【短編】




▽▲▽▲▽




「ねえナギ君」


「なんですかチエ先輩キモいです」


「まだ『ねえナギ君』しか言ってねーよ!」


今日も絶好調な毒舌ぶりに、全力でツッコむ。


隣にいるナギ君をチラッと見ると、彼は整った顔を無表情のまま空に向けていた。


綺麗だな、と思う。


手の中にある一眼レフが、その横顔を写したいと訴えかけてくるけれど、必死にこらえる。


いくら写真を撮る部活とはいえ、本人の了承無しに撮るのは良くない。


「なに見てんですか先輩。
ストーカーみたいですキモいです」


「なんでだよ!
ストーカーはこんなに堂々と隣に座ったりしないよ、たぶん」


「じゃあシンプルにキモいです」


「…………もうどうとでも言って」


おかしいな、こんなはずじゃなかったのに。
< 3 / 16 >

この作品をシェア

pagetop