2月15日の告白【短編】
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「ねえナギ君」
「なんですかチエ先輩キモいです」
「まだ『ねえナギ君』しか言ってねーよ!」
今日も絶好調な毒舌ぶりに、全力でツッコむ。
隣にいるナギ君をチラッと見ると、彼は整った顔を無表情のまま空に向けていた。
綺麗だな、と思う。
手の中にある一眼レフが、その横顔を写したいと訴えかけてくるけれど、必死にこらえる。
いくら写真を撮る部活とはいえ、本人の了承無しに撮るのは良くない。
「なに見てんですか先輩。
ストーカーみたいですキモいです」
「なんでだよ!
ストーカーはこんなに堂々と隣に座ったりしないよ、たぶん」
「じゃあシンプルにキモいです」
「…………もうどうとでも言って」
おかしいな、こんなはずじゃなかったのに。