2月15日の告白【短編】
ナギ君を写真部に勧誘したのは、最終的な結果でいうと私だ。


2年生の4月、お手伝いとして出席した入学式で、ナギ君を一目見た瞬間に、私の六感的ななにかが叫んだのだ。


絶対、この人だって。


なにが、かはまだわかっていないけど。


とにかく、彼を写真に収めたくて、入学式のすぐ後に、写真部のモデルとして声をかけた。


が、返ってきたのは「被写体にはなりませんけど、部員になります」という謎の返事。


かくして、私にナギ君こと千早渚くんという後輩ができた。


のだけれど。


中性的で天使のような容姿に、私が騙されていたんだと気付いたのはすぐ後。


口を開けば、毒を吐く。


なにをしていても、毒を吐く。


ニュートラルな容姿から飛び出す毒は、たぶん普通の容姿の人が吐いた物よりも強い。


美しい人の言葉は、毒でも美しく、だからより一層傷つく。
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