2月15日の告白【短編】
「ナギ君といると、多少のことでは傷つかない鋼のハートになるよね」


「お役に立ててなによりです」


「役に立ったとは言ってねーよ」


こうして屋上で空を見上げているのは、はたから見れば変わった二人かもしれないけれど、立派な部活動だ。


写真部。


部員は、私とナギ君だけ。


いや、幽霊部員なら山ほどいるけれど。


どうしても『文武両道』といいたいらしいこの高校は、部活に参加することを強制していて。


ゆるくて、月一で顔を出せばそれでいい写真部には、幽霊部員があまるほどいる。


こうして毎日カメラを持っているのは、私とナギ君だけだ。


とはいっても、


「ナギ君、4月から今まで一枚も写真撮ってないよね?」


幽霊部員でも一枚は提出してるのに。


「さあ、どうでしょうね」


のらりくらりと、ナギ君はこちらを見ずに答える。


2月の風が、冷たく私たちの頬を撫でていく。
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