空を願って、海を望んで



その言葉を聞いて妖精は喜びました。魚がつぶらな瞳を輝かせて喜んだのも理由にありますが、妖精は1つ閃いたことがあったのです。それには魚の持つ鱗は妖精にとってはとても欲しいと思わせるものでした。


さっそく魚と妖精は誰もいない浜辺に向かい契約を結びました。風が吹いて、魚の上半身から鱗が舞い上がりました。陽の光に当たってまるで宝石の中を泳いでいるようです。


そして一際眩しく輝いたかと思えばそこには尾びれを持った人がいました。


砂浜のような白い肌に青い瞳、珊瑚のような鮮やかな桃色の唇、そして尾びれと同じ煌めくエメラルドグリーンの波打つ髪を持ったその人はとても綺麗で妖精も思わずぱちくりと瞳を瞬かせました。


魚だった尾びれを持った人もびっくりしています。いつも触れていた水の感触を感じません。その代わりに肌に触れるのは暖かな風でした。


ゆっくりと瞳を閉じて開けます。いつも視界でゆらゆらしていた光がまっすぐと目に入りした。



「これが、太陽の光…」



目線を上げればそこにはいつも海の中から見ていた太陽がありました。


本当に、直接この目で本物の太陽を見られるなんて!とその人は感動と興奮で頰を染めました。




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