空を願って、海を望んで
「ありがとう…ありがとう、妖精さん!私の願いを叶えてくれてありがとう!」
喜びに顔を綻ばせる姿に妖精も嬉しくなりました。
「どういたしまして、僕の方こそありがとう!でも君の願いを叶えるのに必要な力は僕にはなくて、君は外の世界に触れられるようにはなったけれどやっぱり海の中でしか生きられないみたいなんだ」
確かに海の中から出て呼吸はできるけれど、下半身は魚のままで、そこが乾いてしまえばきっと弱ってしまうだろう、ということを伝えると、魚はそれでもお礼を言いました。
魚は海の外にある太陽の光を浴びる世界に憧れは持っていたけれど、海の中で過ごしてきた世界もとても大切で手放したくはなかったのです。
「妖精さんは望みを叶えることができた?」
「うん、君のおかげさ!」
魚から剥がれたキラキラした鱗は1つの光になって妖精の中に吸い込まれていきました。すると淡い緑色をしていた妖精の髪は海の色に変わりました。鱗と同じ色です。
「これで僕も海の中に入っていろいろなところに行けるようになったんだ」
「わぁ、そうなの?すごいね!じゃあここら辺の海は私が案内してあげるよ!」
妖精はその提案にとても喜んで2人は手を繋いで海の中を泳いでいきました。