仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
「彼女には新しいイメージがつきやすいですし、芽が出て話題になるかもしれません。そうすれば宣伝効果は二倍三倍になりますからね」
「確かにその通りです。けれど僕としては、『エテルニタ』の持つエネルギーを最大限に表現できるモデルが欲しい。それで以前――」
とにかく、こんな人生で一度あるかどうかの素晴らしい機会を、みすみす見逃すなんてことは出来ない。
このお仕事――絶対に射止めてみせる!
壁に潜んでいた私は、意を決して飛び出した。
たたたっとヒールを鳴らし、ガラス張りの会議室のドアの前にまろび出ると、許可も聞かずにドアを開いた。
「おはようございます。打ち合わせ中に大変失礼いたします!」
会議室にいた社長とクライアントの美青年が、驚きで目を丸くする。
「ちょっと、琴石! 今は大事な企画の打ち合わせ中よ!」
「はい! 存じております!」
普段の私ならこんなこと出来ない。いや、絶対にしない。
けれど今この瞬間が私に残された最後のチャンス! 挑戦すべき時なんだ!
私は社長の制止を振り切って、形振り構わずクライアントの元へ走り寄った。
「確かにその通りです。けれど僕としては、『エテルニタ』の持つエネルギーを最大限に表現できるモデルが欲しい。それで以前――」
とにかく、こんな人生で一度あるかどうかの素晴らしい機会を、みすみす見逃すなんてことは出来ない。
このお仕事――絶対に射止めてみせる!
壁に潜んでいた私は、意を決して飛び出した。
たたたっとヒールを鳴らし、ガラス張りの会議室のドアの前にまろび出ると、許可も聞かずにドアを開いた。
「おはようございます。打ち合わせ中に大変失礼いたします!」
会議室にいた社長とクライアントの美青年が、驚きで目を丸くする。
「ちょっと、琴石! 今は大事な企画の打ち合わせ中よ!」
「はい! 存じております!」
普段の私ならこんなこと出来ない。いや、絶対にしない。
けれど今この瞬間が私に残された最後のチャンス! 挑戦すべき時なんだ!
私は社長の制止を振り切って、形振り構わずクライアントの元へ走り寄った。