仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
きゅうっとなる胸が、切なくて苦しい。
彼のことを好きになってしまった自分の完敗だと思った。
食事を終え、シャワーを終えたあと。
窓際に佇んでいた私の背後に、バスローブ姿の慧さんがやって来た。
突然、腰の周りに腕を回され、後ろから抱きしめられる。
密着しているところが、じわじわと火照る。
微動だにできないような緊張感を感じて、忙しなく瞬きをしながら、目の前に広がる窓に視線を戻した。
彼が視線だけ夜景に向けているのがガラスに反射して見えた。
「このスイートルームからの夜景は絶景なんだ。僕のお気に入りの場所の一つ」
私の首元に顔を埋めながら息を吐くように言う。
そこに甘い痺れが走ったのを隠したくて、もぞりと彼の腕の中で動いた。
一面ガラス窓の外には、宝石箱をひっくり返したかのような東京の夜景が広がっている。
「今夜は君にこれを見せたかったんだ。本当は可愛く泣いてる君を、ここで慰めるつもりだったんだけど」
「もう! まだそんなこと言って。許してませんからね」
とっくに許しているくせに、私はフイっと顔を背ける。
彼のことを好きになってしまった自分の完敗だと思った。
食事を終え、シャワーを終えたあと。
窓際に佇んでいた私の背後に、バスローブ姿の慧さんがやって来た。
突然、腰の周りに腕を回され、後ろから抱きしめられる。
密着しているところが、じわじわと火照る。
微動だにできないような緊張感を感じて、忙しなく瞬きをしながら、目の前に広がる窓に視線を戻した。
彼が視線だけ夜景に向けているのがガラスに反射して見えた。
「このスイートルームからの夜景は絶景なんだ。僕のお気に入りの場所の一つ」
私の首元に顔を埋めながら息を吐くように言う。
そこに甘い痺れが走ったのを隠したくて、もぞりと彼の腕の中で動いた。
一面ガラス窓の外には、宝石箱をひっくり返したかのような東京の夜景が広がっている。
「今夜は君にこれを見せたかったんだ。本当は可愛く泣いてる君を、ここで慰めるつもりだったんだけど」
「もう! まだそんなこと言って。許してませんからね」
とっくに許しているくせに、私はフイっと顔を背ける。