仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
彼女が身につけていたゴージャスなジュエリーを写した写真には、
【全て『エテルニタ』のオーダージュエリー。彼女こそケイのフィアンセ? これは結婚間近のサイン?】
とあった。

そんな、フィアンセは! ううん、違う。私じゃない。

私は……何なのだろう。

本当は、恋人でも婚約者でもない。勿論、友達でもない。

じゃあ私って、慧さんの何……?


答えはただの仕事相手。『エテルニタ』の作品たちを最高に引き立たせるための素材、なのだろう。


以前『女性でここに入ったのは、本当に君が初めてだよ』なんて言っていたけど、それも当たり前だよね。
だって、アマンダはアメリカに住んでるもの。

王子様のような見た目に騙されてしまっていたけど、慧さんは百獣の王のような視線で情熱的に女性へ迫り、牙をむくような人だ。

世界中に彼の経営する超一流ホテル、ホテル・エテルニタがある。
わざわざ恋人を家に招待する必要なんかどこにもないのだ。

彼には本物の恋人だって、一夜限りの相手だって存在することくらい、わかりきってたはずなのに。
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