仮初めマリッジ～イジワル社長が逃してくれません～
慧さんの女性関係に対して口出しできる立場にもいないくせに、これ以上自分が傷つくのが怖くて、反抗的な態度をとってしまう。

彼を独り占めしたいという嫌な感情でいっぱいだ。
平静を取り戻したいのに、頭と心が切り離されたみたいに言うことを聞いてくれない。

「それ、どういう意味？　僕が誠実じゃないってこと？」

「そりゃあ、まあ……。この記事を見る限り」

王子様への反抗心で、可愛げのないことを口にした。
彼は心外だとばかりに眉をひそめる。

「ふぅん？　じゃあ、君にとっての誠実な男っていうのは、例えばどんな人なのかな」

まるで恋愛経験のない私を、小馬鹿にするような口調で言われた。
私は「それは……」と口ごもる。

慧さんが利己的に女性と過ごすことも、自分の恋愛経験値の低さを小馬鹿にされたことも、なんだか凄く嫌で、できる限り的確な例を示して言い返してやろうと頭をひねった。

そして、一人の男性に行き当たる。

「例えば……小野寺さん、みたいな人ですかね？」

彼は他のマネージャーさんのように自分のマネジメントするモデルを贔屓したり、嫌味を言ったりしない。
その点から言えば、誠実な男性と言えるだろう。
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