仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
第六章 最愛という冠を君に
翌朝。いつもの時間に、セットしていたアラームが鳴った。
アラームが鳴り続けるスマホをタップしてから、ダブルベッドから起きだす。このベッドを使用するのは、慧さんの家に住むようになってから、まだ二度目だった。
朝の支度を整えてから、ゲストルームを後にする。
メインベッドルームの前を通り過ぎようとした時。自然と、歩みが止まってしまう。
最初から私は、彼の望む表現をすることができるモデルとして成長することを約束した上で、“婚約者”としてここに置いてもらっているだけだった。
誓約書へサインを迫られた時から、彼は何も変わっていない。
慧さんにとっての私は、『エテルニタ』のジュエリーの引き立て役に過ぎなかった。それなのに期待して、信頼されていると信じこんでしまっていた自分が……ただの愚か者だっただけ。
慧さんが口にする言葉は、彼の望む“婚約者”を作り上げるための、偽りの愛の言葉。
全部“婚約者”を育て上げるための、嘘。
そんなこと、最初からわかってた。わかってたのに……。
一人でどんなに泣いても、彼のことが好きな気持ちが、全然消えてくれない。
あんな風に突き放されて、失恋したくせに。
慧さんが隣で眠っていない夜は、……ここから消えていなくなりたいくらい、孤独で、寂しかった。
アラームが鳴り続けるスマホをタップしてから、ダブルベッドから起きだす。このベッドを使用するのは、慧さんの家に住むようになってから、まだ二度目だった。
朝の支度を整えてから、ゲストルームを後にする。
メインベッドルームの前を通り過ぎようとした時。自然と、歩みが止まってしまう。
最初から私は、彼の望む表現をすることができるモデルとして成長することを約束した上で、“婚約者”としてここに置いてもらっているだけだった。
誓約書へサインを迫られた時から、彼は何も変わっていない。
慧さんにとっての私は、『エテルニタ』のジュエリーの引き立て役に過ぎなかった。それなのに期待して、信頼されていると信じこんでしまっていた自分が……ただの愚か者だっただけ。
慧さんが口にする言葉は、彼の望む“婚約者”を作り上げるための、偽りの愛の言葉。
全部“婚約者”を育て上げるための、嘘。
そんなこと、最初からわかってた。わかってたのに……。
一人でどんなに泣いても、彼のことが好きな気持ちが、全然消えてくれない。
あんな風に突き放されて、失恋したくせに。
慧さんが隣で眠っていない夜は、……ここから消えていなくなりたいくらい、孤独で、寂しかった。