仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
昨日までは薔薇の香りなんてサービスなかったのに、どうしてだろう?
そう思いながら室内を進むと、キングサイズのベッドの上に何か乗っている。
純白のシーツの上には、真っ赤な薔薇の花束が置いてあった。
「わっ! どうして、薔薇の花束が!?」
日中のベッドメイキングの際に届けられたのだろうか。
部屋に帰ってきてから今夜は一度もメインベッドルームを訪れていなかったので、急な事態に驚いた。
ベッドに駆け寄り花束を抱える。
百本ほどの薔薇の中心には、メッセージカードが刺さっていた。
【僕のお姫様へ、愛をこめて】
――慧さん。
とっくに失恋しているくせに、胸がギューッと切なく締め付けられる。
いてもたってもいられないような気持ちになり、腕いっぱいに咲き誇る赤い薔薇を抱きしめた。
ここまで気を使わせちゃって、ごめんないさい。
でも……すごく嬉しいです。
甘く芳しい優雅な香りが、私を包む。
まるで、慧さんに抱きしめられているような幸せな感覚に、一筋の涙がつぅっと頬を伝った。
その一筋をかわきりに、はらはらと止めどなく溢れる涙が、メッセージカードへ滲んでいく。
そう思いながら室内を進むと、キングサイズのベッドの上に何か乗っている。
純白のシーツの上には、真っ赤な薔薇の花束が置いてあった。
「わっ! どうして、薔薇の花束が!?」
日中のベッドメイキングの際に届けられたのだろうか。
部屋に帰ってきてから今夜は一度もメインベッドルームを訪れていなかったので、急な事態に驚いた。
ベッドに駆け寄り花束を抱える。
百本ほどの薔薇の中心には、メッセージカードが刺さっていた。
【僕のお姫様へ、愛をこめて】
――慧さん。
とっくに失恋しているくせに、胸がギューッと切なく締め付けられる。
いてもたってもいられないような気持ちになり、腕いっぱいに咲き誇る赤い薔薇を抱きしめた。
ここまで気を使わせちゃって、ごめんないさい。
でも……すごく嬉しいです。
甘く芳しい優雅な香りが、私を包む。
まるで、慧さんに抱きしめられているような幸せな感覚に、一筋の涙がつぅっと頬を伝った。
その一筋をかわきりに、はらはらと止めどなく溢れる涙が、メッセージカードへ滲んでいく。