仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
あの日のことは鮮明に覚えている。
就職活動に惨敗したあげく大学卒業も間近に迫り途方に暮れていた頃。『人生を変える』と人気が高かった映画を観に行った。
誰もいなくなった客席で涙をぬぐっていた時、『すみません!』と突然声をかけてきてくれたのが彼だ。
小野寺さんはその時、名刺を取り出しながら、
『あなたのような人を探していました。決して怪しい者ではありません! モデル事務所ペルラのマネージャーをしております、小野寺と申します。俺のマネジメントするモデルになって下さい!』
と、今考えると珍しいくらい必死な表情で熱心に話をしてくれた。
まさかモデル事務所からスカウトされるなんて思ってもいなかったので、なんで? どうして? こんな私でも良いの? と困惑の方が強かった。
けれど人生で初めて貰えた“内定”に、じわじわと胸が熱くなる。
このまま大学卒業を迎えても今後の就職先は他にない。それなら――!
そうして、今に至る。
就職活動に惨敗したあげく大学卒業も間近に迫り途方に暮れていた頃。『人生を変える』と人気が高かった映画を観に行った。
誰もいなくなった客席で涙をぬぐっていた時、『すみません!』と突然声をかけてきてくれたのが彼だ。
小野寺さんはその時、名刺を取り出しながら、
『あなたのような人を探していました。決して怪しい者ではありません! モデル事務所ペルラのマネージャーをしております、小野寺と申します。俺のマネジメントするモデルになって下さい!』
と、今考えると珍しいくらい必死な表情で熱心に話をしてくれた。
まさかモデル事務所からスカウトされるなんて思ってもいなかったので、なんで? どうして? こんな私でも良いの? と困惑の方が強かった。
けれど人生で初めて貰えた“内定”に、じわじわと胸が熱くなる。
このまま大学卒業を迎えても今後の就職先は他にない。それなら――!
そうして、今に至る。