仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
「当日は俺も一日中現地の予定だ。琴石の自宅へ迎えに行くから、朝六時に下りてきてくれ」

「はい。わかりました」

それで連休中の打ち合わせは終了となった。


いつもだったら現地集合だし、多忙な小野寺さんはクライアントへ挨拶を終えると事務所へ蜻蛉返り。

小野寺さんに他の仕事がある時は、他のマネージャーさんが担当として来る時もある。

それが今回は小野寺さんに自宅までお迎えに来てもらえる上に、現場にずっと居てもらえるのなら心強い。

改めて、ほっと胸を撫でおろした。




大型連休明けの月曜日。今日はいよいよ第一回目の撮影だ。

先月までは崖っぷちのお先真っ暗状態だったのに。今日からは、広告が公開されているシーズン中は安定した収入を得られるモデルになる。

シンデレラストーリーを予感させるチャンスに、今日まで毎日ワクワクが止まらなかった。


時刻は現在、朝五時五十分。
私は時計を見ると早る気持ちを抑えながらマンションのエントランスを出た。


早朝の爽やかな日差しが心地良い。

朝のジョギングをしている女性や出勤中のサラリーマンが歩道を通り過ぎていくのを眺めながら、小野寺さんの迎えを待つ。
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