仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
次は、気に入ったデザインの指輪を試着したりオーダー内容を打ち合わせするシーンに移る。
木製のセンターテーブルの上にスエード調のリングトレイが並べられた。
コンシェルジュの女性と新郎新婦役の三人でテーブルを囲み、アームチェアに着席したらスタンバイ完了だ。
リングトレイの中には様々なデザインのリングが並ぶ。
ここではムービーよりもスチール撮影が中心となった。
「新郎新婦の間にある信頼感や幸福感を演出してください。画面の上からでも感じ取れるように、二人の愛情を視覚化していく感じてお願いします」
ディレクターさんのオーダーに、小野寺さんと私は未来を語らうような笑顔を浮かべ合う。
コンシェルジュの女性は指輪を傷つけないようにマイクロファイバー製の白い手袋を着用すると、ダイヤモンドが輝くエンゲージリングを手に取った。
私の手をすくい上げ、薬指へそっと指輪を滑らせる。
その後は自然な打ち合わせシーンになるように、コンシェルジュさんと三人でダイヤモンドに纏わる話をした。
『エテルニタ』ではダイヤモンドのカットやランクに非常こだっており、小さなメレダイヤでも最高ランクの品質を使用するそうだ。
実際のお客様はこのタイミングで好みのデザインを伝え、ダイヤモンドのカラット数・アームの素材・予算などを話し合うことになる。
それをもとにして、デザイナーさんが“世界にたった一つだけのブライダルジュエリー”をデザインしてくれるのだ。