仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
私は震える手で常盤社長の万年筆を手に取り、【琴石結衣】とサインをする。
そして自ら書き記した署名の横に、捺印した。
これをもって私と『エテルニタ』のオール媒体長期契約の続行が決定し、“常盤社長の婚約者として彼と過ごす”という新たな契約が結ばれた。
常盤社長は口元に微かに笑みを浮かべながら、大きな掌でテーブルの上から誓約書を拾い上げる。
まるで大切なものを預かるような表情で、誓約書をジャケットの内側へと仕舞いこんだ。
「これで君と僕の契約は成立だ。今夜、撮影終了後に迎えに来るから。またあとでね、結衣」
そう言って突然、私の顎へ長い指先をかけて持ち上げると――私の唇へ、キスを落とした。
ふわりと彼の香水の艶やかな香りが鼻腔をくすぐる。
私は驚きで目を見開いたまま動けない。
「……可愛い顔。これで今日の君は完璧なはずだ」
彼は甘く低い声音で囁き、悪戯っぽく微笑むと、ひらひらと片手を振りながら部屋を出て行く。
かぁああっと全身が熱くなる。心臓がドキドキと煩い。
「い、今のって……」
人生初めてのキスの感覚が残る唇へ、無意識に指先が触れる。
そして自ら書き記した署名の横に、捺印した。
これをもって私と『エテルニタ』のオール媒体長期契約の続行が決定し、“常盤社長の婚約者として彼と過ごす”という新たな契約が結ばれた。
常盤社長は口元に微かに笑みを浮かべながら、大きな掌でテーブルの上から誓約書を拾い上げる。
まるで大切なものを預かるような表情で、誓約書をジャケットの内側へと仕舞いこんだ。
「これで君と僕の契約は成立だ。今夜、撮影終了後に迎えに来るから。またあとでね、結衣」
そう言って突然、私の顎へ長い指先をかけて持ち上げると――私の唇へ、キスを落とした。
ふわりと彼の香水の艶やかな香りが鼻腔をくすぐる。
私は驚きで目を見開いたまま動けない。
「……可愛い顔。これで今日の君は完璧なはずだ」
彼は甘く低い声音で囁き、悪戯っぽく微笑むと、ひらひらと片手を振りながら部屋を出て行く。
かぁああっと全身が熱くなる。心臓がドキドキと煩い。
「い、今のって……」
人生初めてのキスの感覚が残る唇へ、無意識に指先が触れる。