仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
――しかし『ペルラ』所属も二年目に突入した頃。

『新人』という輝く冠が外れたせいか、クライアントからの依頼がパッタリと減った。

自分にとっては全力の努力に思えたけれどモデルとしては普通の事しかしていなかった私は、『新人』補正がなくなった途端、仕事ゼロの売れないモデルになっていたのである。


今考えてみれば、見た目と中身がそぐわない自分でも欲してもらえるかもしれない! とお伽話の王子様のようなクライアントを勝手に期待して、甘えていたのかもしれない。


コマーシャルモデルは、『商品を引き立たせる魅力』がなくてはいけない。

キャラクターが定まっていないようなモデルは採用しにくいに決まっている。


現実は厳しかった。



現在は『ペルラ』でモデルとしての僅かな仕事の合間にカフェでアルバイトをしながら、二足の草鞋で食いつないでいる。

お給料の多くは月々のレッスン料と衣装代や化粧品代に消えてしまい、家計はギリギリ。

最近は毎日、食費まで切り詰めている。


正直なところ、このままではお先真っ暗です……!

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