仮初めマリッジ~イジワル社長が逃してくれません~
『お礼を伝えに行かないとダメ。絶対大丈夫だよ』と自分を言いくるめてみるも、今度は慧さんの選んだ下着をドキドキしながらつけたことを思い出し、耳まで熱くなる。
羞恥心で火照ってしまった顔を冷やしたくて、パタパタと手で煽いだ。
結局、慧さんがいるらしい気配のするリビングルームには向かわず、与えられたゲストルームに逃げ帰ってベッドに倒れこんだ。
今日は本当にめまぐるしかった。
慧さんに花嫁役を降ろされそうになったり、契約続行を必死で懇願したり。
……婚約者として、慧さんと一緒に住むことになったり。
そこへ思考が至った途端に、この家には慧さんと私の二人っきりという事実が突きつけられる。
『今日から僕は婚約者として、君が蕩けるくらい可愛がってあげる。だから――僕のことで君の頭をいっぱいにして』
慧さんの甘い声音と表情が脳裏に蘇り、ドキドキし始めた。
こんな言葉、人生で一度も言われたことがない。
だからなのか胸がきゅうっと苦しくなって、いてもたってもいられない。
完全に彼の言葉や仕草に翻弄されている。
どうしよう。もう既に頭の中が慧さんのことでいっぱいになってる。
私はベッドの上で身悶えると、頭からシーツをかぶった。
これから二ヶ月間、私はここに住むことになる。可能な限り短期間で慧さんに表現力を認めてもらって、ここから出ないと身がもたな……。
ドキドキと体内で反響する音は、疲労には勝てなかったのか次第に静まっていく。
いつの間にか、重い瞼は落ちていた。
羞恥心で火照ってしまった顔を冷やしたくて、パタパタと手で煽いだ。
結局、慧さんがいるらしい気配のするリビングルームには向かわず、与えられたゲストルームに逃げ帰ってベッドに倒れこんだ。
今日は本当にめまぐるしかった。
慧さんに花嫁役を降ろされそうになったり、契約続行を必死で懇願したり。
……婚約者として、慧さんと一緒に住むことになったり。
そこへ思考が至った途端に、この家には慧さんと私の二人っきりという事実が突きつけられる。
『今日から僕は婚約者として、君が蕩けるくらい可愛がってあげる。だから――僕のことで君の頭をいっぱいにして』
慧さんの甘い声音と表情が脳裏に蘇り、ドキドキし始めた。
こんな言葉、人生で一度も言われたことがない。
だからなのか胸がきゅうっと苦しくなって、いてもたってもいられない。
完全に彼の言葉や仕草に翻弄されている。
どうしよう。もう既に頭の中が慧さんのことでいっぱいになってる。
私はベッドの上で身悶えると、頭からシーツをかぶった。
これから二ヶ月間、私はここに住むことになる。可能な限り短期間で慧さんに表現力を認めてもらって、ここから出ないと身がもたな……。
ドキドキと体内で反響する音は、疲労には勝てなかったのか次第に静まっていく。
いつの間にか、重い瞼は落ちていた。