愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
プロローグ



一月某日、麗しく晴れたこの日、私・市川雫(いちかわしずく)は結婚した。

都内ホテルの小さなチャペルで、『愛する旦那様』と挙式したのだ。
参列者は家族のみ。私サイドは両親・弟、あちらサイドはご両親。
たったこれだけのお式だ。

私と彼は指輪を交換し、型通りキスをして愛を誓った。
なお、このキスが私の人生においてファーストキスだったわけだけれど、感想を述べるほどはっきりした感触じゃなかったことが悔やまれる。あったかかったなぁくらい。

その後は、ホテルで和気あいあいとお食事をして、婚姻届けの保証人欄を埋めてもらった。

「それでは、この先も末永くよろしくお願いいたします」

うちの両親が頭を下げ、私と弟も慌てて頭を下げた。向こうのご両親も笑顔で頭を下げた。

「雫さん、高晴(たかはる)をよろしくお願いします」

私がちらんと瞳だけあげると、私の『愛する旦那様』・榊高晴(さかきたかはる)は、神妙な顔でこちらを見つめていた。
相変わらず、何を考えているのか、私にはさっぱりわからなかった。

この人が私の旦那様。一生添い遂げる人。
な~んかまだしっくりこないな~。

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