愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~





夕食は部屋に運ばれてくるスタイルで、いよいよもってイイお部屋に泊まってしまった感がある。
運ばれてくるお料理はどれもとても美味しい。最初に出てきた山菜の小鉢が絶品でお替りしたいくらい。ふきのとう味噌のついた生麩の田楽は上品で、苦味が苦手だった私もぱくぱく食べられた。

お風呂を上がってから、私たちはすっかり元のふたりに戻った。
料理ひとつひとつにこれはなんだろうねと話し合い、おいしいねと笑い合い、仲居さんの説明を聞いてはへえと単純に感心して楽しく夕食を進める。
今日まで高晴さんは無理して喋ってくれているのだと思っていた。でも高晴さんは、口数がすごく多い方でもないけれど、きちんと喋る人だ。無理せず自然体に私と楽しもうとしてくれているんだ。それが嬉しいから、私はどんどん喋ってしまう。
日本酒が美味しくてそれも舌を滑らかにする。

「箱根って初めて来たけど、見るものも多いし楽しいね。この旅館はごはんも美味しいし」
「そうだね。明日は美術館巡りをしてお土産を買おう」

日本酒のせいか高晴さんの頰はうっすら赤く、こんなときにこの人が色白だと気づく。
顔立ちは出会った時から中性的な美形だと思っていたけれど、浴衣から見える鎖骨も、綺麗な首筋も、襟足から背骨のラインもすごく綺麗。
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