愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
くすぐったいような気持ちで俺は今日も帰途に着く。
マンションの玄関を開けると、パタパタと雫が出てきた。

「おかえりなさい!高晴さん!」

カフェエプロンをつけてジーンズとブルーのブラウス姿の雫。今日はお休みだからオフスタイルだ。

「ただいま、雫さん。夕飯はなに?」
「カレー!へへ、手抜きだって思わないでね。美味しいルーとチャツネを教えてもらったら、作りたくなっちゃったの」

部屋には香辛料の香りが漂っている。俺の腹が反応してぐうと鳴った。雫には聞こえなかったと思う。
食卓にはカレーとチキンサラダ。カレーは大盛り、チキンがゴロゴロとルッコラとレタスの上にのっていて、見た目だけでかなりボリューミーだ。

「今日ね、オタ友の千夏ちゃんとコラボカフェに行ってきたの。千夏ちゃん、専業主婦だから主婦の知恵を色々教えてもらったんだ〜」
「それでカレーね。うん、美味いよ」

ひと口食べて答えると雫がうふふと嬉しそうに目を細める。

「箱根のお土産渡してぇ、たくさんお喋りしてきた。ほとんどオタトークだけどね。コラボカフェは予約制で、今回のところは味のクオリティも高くて、やたらと注文しちゃった。でも私の推しのコースターは出なくてさ〜」

楽しそうにくるくる表情を変え喋る雫。
以前よりイキイキして見えるのは、好きなことを語っているからだろう。

「ほらほら、カレーが冷めるよ。ゆっくり聞くから」
「はぁい」

雫が子どもみたいに無邪気な返事をする。
はぁ、可愛い。俺の奥さんが今日も可愛い。
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