愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
『高晴さんと見るアニメ』

雫の字だ。
大量のアニメは雫がふたりで見ようと選別したものだったのだ。ということは、漫画は俺に薦めようとしているものだろうか。

今見ているアニメは半分と少し経過し、テレビ台にはブルーレイボックスがそこそこのスペースを占めて置かれてある。見終わるまでまだかかるだろう。
しかし、その後も見るものはたくさんあるということだ。雫はちゃんと準備をしているのだから。

雫の子どもっぽい字を見ていたら、ふつふつと笑いがこみ上げてきた。
なんだか悩んでいるのがバカらしくなってきたぞ。

俺はなんの心配をしているんだろう。雫が他の男と食事をしてなんだというのだ。
雫は俺もこの先も過ごすことしか考えていない。万が一、そのデザイナーの男に惹かれてしまう結果になったなら、それは俺の努力不足に他ならない。
結局俺は自分に自信が持てないから、こんな卑屈な頭でいたわけだ。

仲良くなりたいと箱根の夜に言ってくれた雫の顔が浮かぶ。俺の可愛い奥さん。
雫は俺と未来を見ている。

それなのに、俺はいつまでも駄目だな。
言いたいことを言おう。
本音を遠慮せずに言おう。

嫌われるのに怯える必要はない。俺たちは夫婦なのだ。

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