愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「俺も同僚の日向なんかとは昼飯を一緒にしたりする。きみが同僚と男性とランチに行くくらいなんとも思わない。でも、そのデザイナーはきみの同僚でもなんでもないし、たぶんきみに気がある。そんな男と夜にふたりきりにさせたくない」

話しながらだんだん言葉に感情が挟まってくる。
見合いの時のプレゼンを思い出せ、冷静に話そう。心で唱えるが、うまくいかない。

「きみが美味しそうにメシを食うのを正面で見られるのは俺の特権だと思ってる。きみが楽しそうに喋るのに相槌を打つのは俺だと思ってる。他の男に見せたくない」
「高晴さん……」

俺はそこで言葉を切った。本音は隠さなくていい。きちんと伝えろ。

「だけど、きみを信頼してる。食事は行ってきていい」

雫が他の男と食事に行くなんて嫌だ。でも、彼女は俺の妻であろうとしてくれている。俺はその事実を圧倒的に信頼する。

「結論が変わるわけじゃないんだけど、どうしても俺の気持ちも、伝えておきたくて」
「高晴さん、私ね、食事断っちゃった」

返ってきた答えは予想外のものだった。
雫は食事を断った?なぜ?
本人は行く心づもりを決めていたはずなのに。
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