愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
マンションのエントランスを雫の手を強く握りしめる。
エレベーターを降り、手を引いて歩き出す。雫は俺の強引な雰囲気に気づいていると思う。

抑えろ、無理やりなことはしちゃ駄目だ。
そう戒めながらも、手はもどかしく鍵を開ける。

玄関ドアを閉め、鍵をかけるなり、俺はその場で雫を抱き締めた。
雫の髪からシャンプーの香りがする。
雫の肌の香りと混じっているから、俺の心臓がどくどくと激しく鳴る。

「高晴さん……くるし……」

顔をあげて小さく意見する唇に、唇を寄せた。
柔らかな唇の感触に頭の中が沸騰しそうだ。

きつく抱き締め、舌でぺろりと柔らかな粘膜を舐めると、うっすらと唇が開いた。舌を差し入れ、角度を変え、唇を深く重ね合わせる。
雫は初めてのディープキスに身体をこわばらせている。時折、鼻から抜けるようなかすかな声が漏れるものだから、俺はギリギリの理性にしがみつかなければならない。

キスはどれほど続いただろう。
俺の求めにそっと応える雫の慎ましい情愛に、気が狂いそうになる。
雫、好きだ。大好きだ。

ようやく唇を離すと、潤んだ瞳と真っ赤な頬の雫がいた。
荒い息も濡れた唇もものすごく煽情的だ。このまま……駄目だ。勢いで雫の初めてを奪うわけにはいかない。
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