愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
7.旦那様が……
「おいし〜!」
私が歓声をあげると、正面の席で千夏ちゃんも頰を押さえて叫ぶ。
「やばい、コレ〜!」
私たちの目の前にはチーズフォンデュが陶器のポットでとろとろのぐつぐつに煮えている。
本日はランチからチーズフォンデュの食べ放題プランに来ているのだ。
「ズッキーニとブロッコリーがハマる〜!」
「え〜、パンでしょ!パン!」
「千夏ちゃん、太るよ〜!さっきからパン、鬼食いしてんじゃん!」
ちょっと大きめな声でキャッキャはしゃいでも大丈夫です。周囲は10代から50代くらいの客層で全員女性グループ。どのテーブルも私たちの声なんかかき消されそうなほど賑やかだ。
千夏ちゃんは本名・千賀子さん。かれこれ五年の付き合いのオタ友ちゃんだ。前のジャンルで仲良くなって、それぞれ違ったものにハマっても推しカップリングが合わなくても仲良くできる貴重なお友達。
同じ腐女子でもジャンルの切れ目は縁の切れ目になりやすい。特に『カップリングは絶対このふたりで受け攻めも固定!』とか、『あれもそれも地雷、嫌いなものは滅せよ~』みたいな過激派は、ちょっと趣味がずれた瞬間、いとも容易く敵に変わってしまう。
そこをいくと私たちは安全だ。どちらも地雷は少なく、雑食といえるくらいどんなシチュエーションもカップリングも楽しめる。お互いの好きを尊重し合えるのはいいところだよね。