愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
そんなことを考えているうち、うとうとしてしまっていたみたい。

気づくと目の前に高晴さんの顔があった。
え!え!?高晴さんの顔!?

ソファに転がる私の上には高晴さんが四つ這いの状態でいる。私の顔の横に手が着かれているから、ソファの座面が凹む。彼が少し身じろぎすると、普段は軋まない上質な革張りソファがわずかにきしりと音をたてた。
心臓が馬鹿みたいに大きな音で鳴り響く。

これは……どういう状況?
このまま、私たち、そういうことになるの?

「あ、起きたね」

驚いて目をでっかく見開いたままの私を見下ろし、高晴さんがふわっと柔らかく笑った。
予想外の笑顔に、私は拍子抜けして固まる。

「眠っちゃってるから、驚かそうと思ったんだけど、雫さんが先に起きてしまった」
「あああ、そうなの!?いや、充分驚いたよ!?高晴さんの顔が目の前なんだもん!!」

照れ隠しに大声で言うけれど、頬はたぶん赤かったと思う。
高晴さんはクスクス笑いながら、余裕たっぷりに私の上から退いた。驚かすなんて、キスでもするつもりだったのかな?
茶目っ気出してくることがあんまりないから、めちゃくちゃ驚いた。
っていうか、キスしてくれるなら、寝たふりしてればよかった!!

その後いつも通り私たちは別々のベッドに入り、何事もなく眠るのだった。
私たちの進展はまだ先みたいです。

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