愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「飾っとけば綺麗なお着物を、ようやく重い腰あげてクリーニングに出してぴっちりしまったの。もう一度引っ張りだされて広げられても、お母さんしまう元気ないわよ?」
「だれがうまいこと言えと……」

私はラーメンを受け取りながら、憎々しく呟いた。母にとって、私の結婚はやはり『お片付け』なのね。まあ、いいけどさ!

「俺は姉ちゃんの短慮婚があとあと面倒事につながりそうな気がするけどね。俺のことじゃないから、どーでもいいけど」

箸を手にいただきますをする祐樹を眺めて、私は少々不安になった。
口にはしないけど、短慮婚って言葉……結構的を射ている気はする……。
考えぬいて決めた結婚でないことは確かだもん。



昼食を終えると、母と弟に見送られ、私は27年住んだ実家を出た。
電車で新居に向かえば、ちょうど指定した時間だ。そこからは引越し業者さんにお任せ。

ちなみにこの新居は高晴さんの分譲マンションだ。10階角部屋2LDKの間取り。ふたり暮らしなら余裕なんだよね。私の職場の原宿にも通いやすいし、住みたい街なんかの希望もない方だから、そのままマンションに転がり込んでしまった。
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