愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
私は高晴さんの処置の間に、店舗に連絡した。明日だけでも出番を変わってもらえないか契約社員の子に頼んだのだ。
いい大人だし、夫の風邪で仕事を休むことにも悩んだ。群馬の高晴さんのご実家に救援を頼むことも考えた。
でも、こんな状態の高晴さんを放っておきたくない。
我儘かもしれないけれど、どうしても一緒にいてあげたい。

理由を知った彼女は私の月曜の休みと交換してくれ、さらには他のアルバイトスタッフたちまで『店長、ご主人の傍にいてあげて』と日曜も私が休めるように調整をつけてくれた。
なんていい子たちだろう。

帰宅し、手伝って服を着替えさせると、高晴さんは意識を失うように眠りに落ちてしまった。こけた頬と目の下のクマ。熱で腫れぼったい顔。
どれほど彼が疲れ果てていたのかよくわかる。

こんなになるまで頑張っていて、それに気づけなかった自分が情けない。奥さんなのに。

「ちゃんと看病させてね。埋め合わせにはならないだろうけれど」

眠る彼の髪を撫でて、私は呟いた。
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