愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~







土曜日、高晴さんの熱は下がらず、一日中眠っていた。
眠りが浅く苦しそうにうなされていることもあるので、声をかけて起こし、解熱鎮痛剤を飲ませる。無理に熱を下げるのはよくないとも聞くけれど、眠れないくらい苦しいなら、ちゃんとした休養にならないもの。
食事はまったく摂れず、スポーツドリンクを枕元にストロー付きで置き、目が覚めているときは飲ませた。
薬もなるべく時間で起こして飲んでもらったけれど、高晴さん本人はもうろうとしているので飲んだことすら覚えていないかもしれない。

明日もこんな病状だろうか。
会話もままならず眠っているか、もうろうとしているかの状態。こんな高晴さんを見るのはつらい。
早く熱だけでも下がってくれればいいのに。
そしてどちらにしろ月曜には絶対病院に行かせなければならない。
高晴さんのことだ。ちょっとでも良くなったら、きっと病院なんか行かずに出勤してしまう。それじゃ、風邪はよくならない。私は遅番だから、行きだけでも付き添おう。一緒なら逃げられないものね。

そして、これらはこの風邪がよくなったら……という想像。

もし、これ以上熱が上がるようなら、ためらわずもう一度病院の救急外来に連れて行くつもりだ。やっぱり悪い病気でしたなんて言われたら後悔してもしたりない。

私は高晴さんの隣とキッチンを往復し、ずっと張り詰めていた。
家族が病気っていうのはものすごく怖い。不安でいても立ってもいられなくなる。どうか、早く熱が下がりますように。ただの風邪で済みますように。
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