愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
高晴さんが私の右手首を勢いよく掴んだ。思いのほかしっかりとした力に、目を丸くしてしまう。
それから柔く笑って彼の瞳を覗き込んだ。高晴さんはまだ熱のある顔で、ぼうっと私を見つめている。
「行かないで、雫さん」
「どこにも行かないよ。タオルとってくるだけ」
宥めるような口調になるのは、弱り切った彼相手に母性に似た感覚を覚えているからだろうか。高晴さんは体調がよくないせいか、気難しそうに唇を結びこちらを視線で警戒している。
「ちょっとだけ、手ぇ離して。すぐに戻るから」
「だめ」
次の瞬間、腕を引かれた。いったいどこにそんな力が残されていたのだろう。高晴さんが私の身体を胸に引き寄せた。それから、くるりと反転させられ、私はシーツに両手を杭打たれていた。押し倒された格好だ。
「たかはる……さん」
「雫」
高晴さんが私を見おろしている。身体はつらいはずなのに、まだ熱は高いはずなのに。
視線が野生の獣みたいに鋭い。
「雫、好きだ」
ずっと欲しかった言葉が振ってきて、間を置くことなく、唇が重ねられていた。
圧し掛かってくる身体。彼の重み。怖くはないけれど、高晴さんが別人みたいに見える。
「雫……好きだ、大好き……愛してるよ」
キスの合間に呟かれる告白に胸がいっぱいになった。私も、私も大好き。高晴さんが好き。
「待って、高晴さんッ……待って」
だけど彼は重症の風邪だ。私が移るかどうかはいいとして、無理はさせられない。
それに、ふりそそぐキスの雨に頭がパニック。正直、全然考えていなかった。こんなタイミングだなんて。こんなかたちで結ばれることになるなんて
。
どうしよう、まだ心の準備ができてないよ。
それから柔く笑って彼の瞳を覗き込んだ。高晴さんはまだ熱のある顔で、ぼうっと私を見つめている。
「行かないで、雫さん」
「どこにも行かないよ。タオルとってくるだけ」
宥めるような口調になるのは、弱り切った彼相手に母性に似た感覚を覚えているからだろうか。高晴さんは体調がよくないせいか、気難しそうに唇を結びこちらを視線で警戒している。
「ちょっとだけ、手ぇ離して。すぐに戻るから」
「だめ」
次の瞬間、腕を引かれた。いったいどこにそんな力が残されていたのだろう。高晴さんが私の身体を胸に引き寄せた。それから、くるりと反転させられ、私はシーツに両手を杭打たれていた。押し倒された格好だ。
「たかはる……さん」
「雫」
高晴さんが私を見おろしている。身体はつらいはずなのに、まだ熱は高いはずなのに。
視線が野生の獣みたいに鋭い。
「雫、好きだ」
ずっと欲しかった言葉が振ってきて、間を置くことなく、唇が重ねられていた。
圧し掛かってくる身体。彼の重み。怖くはないけれど、高晴さんが別人みたいに見える。
「雫……好きだ、大好き……愛してるよ」
キスの合間に呟かれる告白に胸がいっぱいになった。私も、私も大好き。高晴さんが好き。
「待って、高晴さんッ……待って」
だけど彼は重症の風邪だ。私が移るかどうかはいいとして、無理はさせられない。
それに、ふりそそぐキスの雨に頭がパニック。正直、全然考えていなかった。こんなタイミングだなんて。こんなかたちで結ばれることになるなんて
。
どうしよう、まだ心の準備ができてないよ。