愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
8.俺の奥さんは最高に可愛い
重たい雲を掻き分けるような夢を見た。
指先で退けた雲の隙間から眩しい光が差し込み、その向こうには一面の青空。
美しい青の世界に放り出されて、俺は驚いた。
手足の浮遊感に『落ちる』という認識はあったけれど、恐怖はなかった。風が気持ちよかった。
『高晴さん』
遠くで雫が俺を呼ぶ声が聞こえた。俺は風の吹いてくる方向を見やる。
『雫!』
声は青空に消えた。
『雫!』
俺はもう一度呼び、それから声の彼方へ手を伸ばした。