愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「……そうする」

昨日の今日だ。身体は違和感や疲労もあるだろう。
痛みはないだろうか。俺の風邪をうつしてしまっているかもしれない。

それでも職場に顔を出そうという雫の責任感を尊敬しつつ、別な勘ぐりもする。彼女は俺と顔を合わせているのが気恥ずかしいのだろう。表には出さないが、強引なことをした俺を怖くは思っていないだろうか。
幸せそうな笑顔に、余計に罪悪感は募る。
こんなはずじゃなかった。俺はもっと完璧な状態でこの笑顔を見たかったというのに。


雫が出かけて行き、いよいよ俺は頭を抱えた。

ベッドに突っ伏すと、昨夜の光景が蘇ってくる。
理性や自制心は機能しなくなっていた。あの時はとにかく雫に触りたくて、そのぬくもりが欲しくてたまらなかった。

夢中でキスして抱きしめて、何度も彼女の名を呼び愛してると告げた。熱に浮かされた俺はきっと余計なこともたくさん言ったんじゃないかと思う。しかしそのあたりは見事にすっぽ抜けていて覚えていないのだ。

ただ、雫の肌の感触、髪の匂い、そんなものは苦しいほど覚えている。今もシーツに雫の香りが残っていて、シーツを洗いに出すことも躊躇するほど俺を捉えて離さない。

触られたことのないところを刺激され、身体をよじらせる雫がたまらなく可愛かった。痛みと快感の狭間の切ない喘ぎ声に止まらなくなった。

俺は最低だ。あれほど大事にしてきた妻の貞操を、タガが外れた欲望で汚してしまった。
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