愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
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行く宛があるわけではなかった。ただただ罪悪感のまま歩きまわった。
丸二日眠っていたせいか身体はふらふらし、歩き続けるのもままならず、途中何度も立ち止まった。
何をやっているのだろう。
雫と顔を合わせづらいばっかりにうろうろと歩きまわって。
それでも、外の風を浴びていると少しだけ頭がすっきりしてくる。
日は沈み、薄暗くなった川沿いの遊歩道は、ところどころ街灯がつき始めた。欄干に肘をつき、川面を見つめる。
深い青の水は波を作り流れていく。
雫が好きだ。
だからこそ大事にすべきだったのに。
台無しにしてしまった。
そして、必死にこの失態の挽回方法を考えている俺がいる。
なんとしても、雫に愛されたい。男女として真の意味で。
雫の中で、諦められたくない。
「高晴さん!!」
背後から怒鳴り声が聞こえた。
振り向くと10メートルくらい先に雫が仁王立ちしていた。
散歩中の人々が何事かと雫を見やる。雫はそんな視線たちをものともせずにずんずんと大股で俺に近づいてきた。
「探した!!」
雷のような怒声に、彼女からこんな声が出るなんて思いもよらず驚く。