愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「でも、あんまり退屈だったら、途中で雫に楽しませてもらうかもしれない」
「な、なにそれ……」
「ソファの使用法は座るだけでもないからね」

私は真っ赤な顔で返す言葉を探す。最近の高晴さんはちょっと意地悪で、かなりエッチだ。
こういうところって、隠しているとわからないものだなぁ。本人いわく、結婚当初から私にムラムラしつつ、ごまかして表に出さずにいたって言うんだもん。私が鈍感なのか、高晴さんが演技派なのか。

ともかく、大事なアニメ鑑賞会中に押し倒されてしまう可能性が出てきて私は焦る。

「絶対、面白いから大丈夫!最後まで飽きません!」

念のため、断言しておこう。エッチなことする暇はありません!でも、高晴さんは平気な顔で私を見おろすのだ。眼鏡の奥の瞳を細めて。

「あれ?そうなんだ。でも、期待してしまうのは仕方ないよね」

もう、またそんなこと言って。
私はこれ以上赤い顔を見られたくなくてぷいと顔を背け、先に立って歩き出した。
私の大好きな旦那様が後ろをクスクス笑いながらついてくる。


打算的に決めた結婚。悩んで騒いで喧嘩して、失敗だったかもって思ったこともあった。
だけど、やっぱり正しかった。今は胸を張ってそう言えるよ。
ふたりで数えきれない幸せを味わおうね。
私たちの時間は、人生は、幸福は、甘い夜は始まったばかりなんだから。



(了)


< 166 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop