愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
番外編・嵐の夜の過ごし方



木曜日の夜、私はソファで膝を抱え、ふくれっ面でテレビの液晶を眺めていた。

窓の外は轟々と風が吹き時折雨粒がまとまって窓ガラスを叩く。
流れているのは春アニメで一番面白かった冒険活劇作品。ご機嫌な時間のはずなのに、私は眉間に皺をよせぶすっとしている。

「雫、ほらコーヒー」

横からマグカップを差し出してくれるのは愛しの旦那様・高晴さん。

「元気を出そう。また次の機会があるさ」
「だって〜」

私は悲しい声をあげた。

「せっかくお休みとったのに〜!」

私と高晴さんは少し早めの夏休みを合わせて取り、今日の朝から北海道に旅行のはずだったのだ。

しかしやってきた早めの大型台風により、私たちの予定は大いに狂ってしまった。
飛行機は欠航。新幹線も運休。現地への交通手段は無くなってしまった。

台風は明日まで関東に居座り、明後日には東北と北海道を北上する日本列島縦断コースらしい。
それじゃあ、私たちの3泊4日の予定はほぼ潰れてしまう。
半日様子を見たけれど、台風の進路や勢力に変化はなく、泣く泣く全てのホテルをキャンセルした。超絶ついてない。

「俺はあと3日夏休みが残ってるし、秋頃に取ろうと思ってるから、そこで予定を合わせるのはどうかな?雫ももう何日かは休みが取れるだろう?」
「それは、そうなんだけど……秋もまた台風にやられそう……」
「そんな、縁起でもない」

高晴さんは笑ったけれど、あり得ない話でもない。高晴さんが気遣って提案してくれるのは嬉しいんだけど、全部マイナス思考になっちゃうよ。
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