愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
私が2歳ってことは高晴さんは5歳くらいかぁ。
せっかくその頃の高晴さんと出会ってるのに、なにも覚えていないなんて我ながらもったいないなぁ。

小さな高晴さん、可愛かっただろうなぁ。
ショタ高晴さんだよ。写真バシバシ撮って、お膝に乗せてチュッチュしたいなぁ。

「今、なにか邪なこと考えてなかった?」

高晴さんに突っ込まれ、私はブンブン首を振った。
考えてた!けど、言わない!

すると私の手の中のベアぞうからポロリと何かが落ちた。どうやら、ベアぞうはメッセージカードを小脇に挟んでいたようだ。
拾って高晴さんとふたり覗き込んでみると、義母の字でこう書かれてあった。

『ふたりの愛のキューピッドです。大事にしてあげてね』

私たちは顔を見合わせ、微妙な顔で笑い合う。

「この頃の私たち、将来結婚するなんて思いもよらなかったのにねぇ」
「俺たち、母親同士のお茶会に付き合ってただけなのになぁ」

そもそもこの結婚自体、私たちの母親同士の思いつきがなかったらあり得なかったわけで。
本当のキューピッドってお母さんたちじゃない。

「まあ、ベアぞうに罪はない」
「うん、ベアぞうは寝室にでも飾ろうね」

それにいつか、私たちの子どもがベアぞうを抱っこする日がくるなら素敵だ。
私たちふたりが遊んだベアぞうがその子の友達になってくれたらいい。
まだちょっと先の話になりそうだから、夢は私の胸にしまっておこう。
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