愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「旅行駄目になっちゃったけど、まあいっかって気分になってきた」
「それはよかった」
高晴さんとふたりで暮らす毎日が大事。
こうして些細なことで笑顔になって、昔の話をしたりして、この先も行きたい。何十年も一緒なら、旅行だって何十回も行けるんだし。
「雫、じゃあ……」
さっきの続きを、と暗に言いたげな高晴さんを知らんぷりして私はリモコンを手にとった。
「やっぱりアニメの続き見てからね」
「いや、いいけど、うん」
「丸四日、べったりふたりっきりなんだからいいでしょう?アニメ見る時間もごはん食べる時間も、イチャイチャする時間もたくさんだよ」
不服そうな高晴さんの顔は子どもっぽくて可愛い。諦めたようで、おとなしく私の隣に腰を下ろした。
しばらくじっと画面を見ていたけれど、我慢できないとばかりに私に視線を移す。
「せめてキスしないか?」
「ん~、しかたないなぁ」
私は振り向き、ちゅっと素早く高晴さんの唇にキスをして、画面に視線を戻した。
このぞんざいな扱い。絶対満足してないだろうから、アニメ視聴のあとはひどい目に合ってしまうかもしれない。
外は暴風雨だ。さっきよりも風は強くなり、10階という高さもあって音は家中に響く。ひとりだったら、ちょっと不安になっていたかも。
だけど、私の横にはお預け中の大好きな旦那様がいる。明日も明後日もずっと一緒の。
台風もそんなに悪くないなあと、ちょっとだけ思った。
(おしまい)
2018.4.21
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また次の作品でお会いできますよう頑張ります。
砂川雨路
「それはよかった」
高晴さんとふたりで暮らす毎日が大事。
こうして些細なことで笑顔になって、昔の話をしたりして、この先も行きたい。何十年も一緒なら、旅行だって何十回も行けるんだし。
「雫、じゃあ……」
さっきの続きを、と暗に言いたげな高晴さんを知らんぷりして私はリモコンを手にとった。
「やっぱりアニメの続き見てからね」
「いや、いいけど、うん」
「丸四日、べったりふたりっきりなんだからいいでしょう?アニメ見る時間もごはん食べる時間も、イチャイチャする時間もたくさんだよ」
不服そうな高晴さんの顔は子どもっぽくて可愛い。諦めたようで、おとなしく私の隣に腰を下ろした。
しばらくじっと画面を見ていたけれど、我慢できないとばかりに私に視線を移す。
「せめてキスしないか?」
「ん~、しかたないなぁ」
私は振り向き、ちゅっと素早く高晴さんの唇にキスをして、画面に視線を戻した。
このぞんざいな扱い。絶対満足してないだろうから、アニメ視聴のあとはひどい目に合ってしまうかもしれない。
外は暴風雨だ。さっきよりも風は強くなり、10階という高さもあって音は家中に響く。ひとりだったら、ちょっと不安になっていたかも。
だけど、私の横にはお預け中の大好きな旦那様がいる。明日も明後日もずっと一緒の。
台風もそんなに悪くないなあと、ちょっとだけ思った。
(おしまい)
2018.4.21
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また次の作品でお会いできますよう頑張ります。
砂川雨路