愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
1.結婚しました!
「雫、あんた結婚しない?」
日曜の朝だった。いきなり爆弾みたいな発言を母がぶん投げてきた。
私は遅めの朝ごはんを食べているところで、行儀悪いとは思いつつ目玉焼きに箸を突き立て固まってしまった。
「結婚?……お見合いならわかるけど、結婚?」
私の声に訝しげな響きが混じってしまっても無理はないと思う。
27年生きてきて、こんな提案をされた日曜の朝は初めてだ。
「もちろん、最初はお見合いって形を取るわよ。でも、結婚を意識して会ってみない?」
母は私の向かいでコーヒーを飲みながらそんなことを言う。
「え?なんで、いきなりそんなことを?は?私、家にいるの邪魔?」
「邪魔じゃないわよ」
「え?それなら何かした?」
大学を出て、今の会社も5年目。そこそこ頑張って働いてるし、家に生活費も入れてる。
そりゃ、ごはんや洗濯はお母さんに任せっぱなしだけど、感謝を込めて誕生日にはバッグ贈ったり、ボーナスが出たらお父さんとお母さんをお高いお店に連れてったりしてるじゃない。
そんな可愛い娘をいきなり結婚させようって……。
なにかあったの、我が家?
もくは私がなにかしでかした?
「あんた27歳よね。お母さんは別にいいのよ。仕事して自分で食べていければそれで充分。将来、この家もあんたのものだし」
「うんうん」
「でもね、お父さんは心配してるのよ。高校時代からあんた、まったく恋愛っ気がないでしょう。休みの日は撮り溜めたアニメ見たり、漫画読んだり。年頃の娘としてどうなんだと。オタクは恋愛する気がないのかと」
う、と私は詰まった。確かに私の趣味はアニメ鑑賞とあらゆるジャンルの漫画読書。
ネットで動画見てあはあは笑っていたり、イラストや小説のSNSを真剣に読みふけってひとりで号泣していたり……。
ひとり遊び大得意のインドア派だ。