愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「見てちょうだい。この子なんだけど」
母がお茶受けのもなかでも差し出すみたいに携帯を渡してくる。どうせ振袖を着た、おきまりのポーズの女性が待機しているのだろう。渋々画面を見て俺は固まった。
おすましした女性はいなかった。
液晶画面いっぱいに映っているのは、温泉の浴衣姿の女性だった。
一瞬見てはいけないものではないかと思ったくらいだ。
彼女は明らかに湯上りで、無造作にまとめられた髪から後れ毛がうなじに幾筋も垂れている。浴衣の襟元は少し乱れていた。理由は右手のビールグラスだ。赤い頰からも彼女がほろ酔いなのがわかる。
酔いのせいか、笑顔はとろとろにとろけきっていて、いかにも上機嫌というのが画面ごしに伝わってくる。
温泉の宴会で酔っ払った湯上りの女子というスナップ写真だ。……お見合いにこれを出されると想像できるだろうか。
しかし、俺はそれ以上に衝撃で固まっていた。
(可愛い……)
写真の女性はとても可愛らしかった。
濃いミルクティー色の髪、柔らかそうな唇、甘えた猫みたいな瞳に、隙だらけのふにゃふにゃの笑顔。
弁解をするなら、俺は酔った女性を可愛いと思ったことはない。どちらかといえば「だらしない」と判断するし、そんな女性を持ち帰ろうとする男はよほど飢えているのだと考える。
だから、俺は彼女が酔っているのを差し引いても、『可愛い』と感じてしまい、さらに言葉をなくして固まってしまったのだ。
母がお茶受けのもなかでも差し出すみたいに携帯を渡してくる。どうせ振袖を着た、おきまりのポーズの女性が待機しているのだろう。渋々画面を見て俺は固まった。
おすましした女性はいなかった。
液晶画面いっぱいに映っているのは、温泉の浴衣姿の女性だった。
一瞬見てはいけないものではないかと思ったくらいだ。
彼女は明らかに湯上りで、無造作にまとめられた髪から後れ毛がうなじに幾筋も垂れている。浴衣の襟元は少し乱れていた。理由は右手のビールグラスだ。赤い頰からも彼女がほろ酔いなのがわかる。
酔いのせいか、笑顔はとろとろにとろけきっていて、いかにも上機嫌というのが画面ごしに伝わってくる。
温泉の宴会で酔っ払った湯上りの女子というスナップ写真だ。……お見合いにこれを出されると想像できるだろうか。
しかし、俺はそれ以上に衝撃で固まっていた。
(可愛い……)
写真の女性はとても可愛らしかった。
濃いミルクティー色の髪、柔らかそうな唇、甘えた猫みたいな瞳に、隙だらけのふにゃふにゃの笑顔。
弁解をするなら、俺は酔った女性を可愛いと思ったことはない。どちらかといえば「だらしない」と判断するし、そんな女性を持ち帰ろうとする男はよほど飢えているのだと考える。
だから、俺は彼女が酔っているのを差し引いても、『可愛い』と感じてしまい、さらに言葉をなくして固まってしまったのだ。