愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
日向に添削してもらい、親の憂いを無くしたいことや、会社の体質的にも身を固めた方が出世に有利など、少々大袈裟な内容を盛り込み、台本はできあがった。
覚える作業は毎晩の風呂。彼女の顔を想像し、どんな反応が返ってくるか考えながら、笑顔の練習も兼ねて行った。

結果、二週間後のお見合いで彼女から即日OKをもらえたのだから、俺の策は功を奏したと言えるだろう。
まあ、正直に言えば、台本の半分も喋れなかったし、要点を早口で説明しただけだったんだがな。
あと、笑顔はたぶん一度も出てこなかったと思う……。
よくOKしてもらえたものだ。一生分の奇跡を使ってしまったような気もする。

ともかく俺はめでたく一目惚れの幼馴染と結婚の運びとなった。
約ふた月の結婚準備期間を経て、今年一月、めでたく挙式を執り行ったのだった。








23時、俺と彼女はリビングにいる。
俺はダイニングテーブルにノートパソコンを持ち出し、仕事のメールを返している。
彼女―――雫はソファに腰掛け、頰とおでこにコットンを貼り付けている。スキンケアの様子だ。
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