愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「女性はやはりそういうことをするんですね」

まだ抜けきらない敬語で話しかけると、こちらを振り向いてへらっと笑う彼女。
コットンがいくつも貼り付いているのに間抜けには見えない。こんな顔も可愛い。

「本当は毎日しっかり保湿なんですって。私はたま〜にしかやらないんです。ズボラだから」

これほど可愛いのに雫はあまり化粧品に金をかけている様子がない。
彼女の目の前にある化粧水は庶民的なメーカーのものだし、洗面所に置いてあるファンデーションや化粧下地、風呂場のシャンプー、コンディショナーまでスーパーで買えそうなものだ。

お金をかけなくても可愛いってことは、俺の奥さんは素材が最高にいいんだな!と俺はひとり納得している。

ちなみに、表向き『雫さん』と呼んでいる俺だが、心の中では『雫』と呼び捨てにしている。
残念ながら、まだ口に出す勇気はない。

さて、今日もそこそこの時間だ。
俺は24時にはベッドに入ろうと思っているんだが、彼女はどうだろう。

メールなんかとっくに返し終わっている。
なんとなくネットニュースを読みながらそわそわと空気を伺っている俺の目に、スキンケア用品を片付ける彼女が映る。
洗面所に用具を戻したり、自分の棚にコットンやヘアバンドをしまうと彼女はキッチンでミネラルウォーターをごくごくーっと飲み干した。
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