愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「ミステリーとか恋愛小説とか、好きなジャンルはあるんですか?」

そうだ、本好きな彼女に今度気の利いたプレゼントをするのはどうだろう。
花やスイーツのプレゼントもいいが、趣味の本を贈るなんてセンスのいい夫じゃないか。どんなジャンルを読むか聞いておかなければ。

「はは……私、割と雑食なのでなんでも読むんです。恋愛もミステリーも、歴史ものもホラーも」
「へえ、そうなんですね。今度オススメを教えてください」

彼女が苦笑いを作る。
なんだろう。好きな話題を振っているはずなんだが、どうも反応が鈍い。

「ええ、じゃあ選んでおきます」
「俺はあまり本を読む方ではないので、初心者向けでお願いします」

彼女は目を泳がせたまま、カップスープにお湯を入れ、サラダを取り分けた。さいの目に切ったサラダチキンをのせる。

「はは、わかりました。明日は……一日かけて買ったばかりの新刊を読むんです。はは……」

夕食は普通に済んだ。いつも通り他愛のない会話をして、風呂を溜めるのも面倒なのでシャワーにし、俺が先に浴びた。

彼女がシャワーを浴びている頃、寝室に引っ込んだ俺は頭の下に腕を敷き、天井を見上げていた。

本の話題を振った彼女はあまりいい顔をしなかった。彼女の趣味だというから話の種にと思ったのに。
俺のような『読書はしないが、手をだしてみようかな』という態度は、本好きの人間には鼻につくのだろうか。ニワカ野郎に思えたのだろうか。
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