愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
帰宅すると、すでに高晴さんが家にいた。

「早い!」

リビングに入りおもわず呟いてしまったのは、直前まで勝手に高晴さんの性癖を妄想してたからだ。ごめんなさい、高晴さん。
薄手のニットにジーンズ姿の高晴さんは困ったように笑う。

「雫さん、おかえり。早く帰れてしまってすみません……じゃなくてごめん」

謝らせてしまった。私は慌てて首を振る。
違う違う。そうじゃなくて驚いただけだから!妄想が申し訳なくなっただけだから!

「夕飯について相談してもいいかな」
「なんですか?じゃなくて、なに?」

お互いは『さん』づけで呼び合っても、敬語はなくすように注意してる。だから、言い直すことが最近多い。

「たこ焼きを……買ってしまって」
「へ?たこ焼き?」

ダイニングテーブルにはたこ焼きが三パック並んでいる。できたてのようでパックの上蓋はゆげで曇っている。私は慌ててパックを開けた。しなしなにふやけちゃ勿体ないじゃない。
中にはほかほかのたこ焼きが並んでいる。青のりと鰹節は若干しんなりソースに馴染んでしまっているけど、ビジュアル最高に美味しそう!

「駅前に屋台が出ていて……前も一度見かけて買ったんだけれど、美味しかったから」

高晴さんは敬語をやめると言葉尻に困るようで、口下手度が増す。
ブツ切りの言葉から推察するに、美味しいたこ焼きだからつい買ってきてしまったということかな。
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