愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
その後はあまり喋らずに買い物を終えた。
気詰まりでない程度の距離で、無難な会話を交えつつ帰宅する。

大丈夫、私たちは円満。

言い聞かせるように母のレシピを見ながらロールキャベツを作った。

高晴さんは美味しいと食べてくれ、ご飯が進むとおかわりもしてくれた。
新しく買ったお味噌を試したくて、じゃがいもといんげんでお味噌汁にしてみたけど、『うまいね、買って正解だったね』とうっすら笑ってくれた。

うん、ほらやっぱり私たちいい感じじゃない。
ちょこっと目をそらされたくらいで気にしない気にしない。

そうだ!

今日はちょっと時間に余裕もある。こういう日こそ、チャレンジしてみよう。
私は兼ねてから考えていた計画を実行するため、勇気を出すことにした。

夕食後のまったりタイム、高晴さんがお風呂に入っている間にこの前買った下着を取り出す。
ムダ毛がないかチェックするためボディ用のカミソリも持って高晴さんと入れ違いにお風呂へ向かった。

全身ピカピカ、新しい下着も装着、髪もふわふわに乾かしてひとまとめにする。

お風呂を出て、ソファに座る高晴さんを確認。
よし、雑誌を読んでる。大チャンスだ。

私は用意しておいた当たり障りないミステリーの文庫本を手に、何気なく高晴さんの隣に座った。

心臓がばくばくとすごい音をたてている。落ち着け落ち着け。夫婦が並んで座るのは普通のこと!

高晴さんがわずかに腰を浮かせ、私の座る位置を空けてくれる。
二人掛けのソファにスペースはたくさん残ってるけれど、気遣いでこういうことするよね。けして、距離を取りたいわけではないよね。
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