愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
10年後、同じこと言ってるかっていうと微妙だ。
仕事はノリに乗ってる時期だろうけど、周りはアラフォー。家庭を持った友人が同じように遊んでくれるかはわかんないよね。

さらに10年経ったとき、私は何を考えるだろう。
結婚は何歳でもできる。でもその頃になって「やっぱり子ども産んでおきたかった!」とか「ウエディングドレス似合う時期に結婚したかった!」とか考えるかもしれない。
今はいいや、が一生の決断に関わってくる。それがアラサーってやつなのも理解してるのよ。

「ねえ、雫、逆に考えなさいよ。お相手はもう二度もお見合い失敗してるんだし、もしあんたがやだって言っても角は立たないわよ。私も晶子ちゃんもお試しって感じで言ってるんだから!」

母が背中をぐいぐい押す発言をしてくる。結婚を前提とか言っておいて、私が乗り気じゃないと見るやハードルを下げてくるあたり。さすが実母、よくわかってる。

「結婚かぁ」
「まずは会ってみるだけ!高晴くん、イケメンよ!目の保養になるわよ!」

私はわざとらしく大きなため息をしてみせた。しょうがないなぁって雰囲気の。

「まー、そうだよね。うん、会って合わなけりゃやめるわ」

母が満足そうにうんうんと頷き、早速父に報告とばかりに席を立った。父はたぶん庭いじりで外だ。
残された私は、今度は自分のために嘆息した。

ひとりで生きていくことに不安や切迫感はない。だけど、将来の保証は多い方がいい。
吟味するためにも出かけてみるかぁ。こんな機会がないと、重たいお尻が持ち上がんないもんな、私って。

それに、お相手は確かにイケメンだ。そんなイケメンと喋る機会ないし、さらにお見合いしたとなったら話のタネにはなるよなぁ。

そんなわけで、私は27歳の選択として、人生初のお見合いに挑むことになったのだ。



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