愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
……だから、私がそんなに凹む必要ないじゃん。ねえ、最初からわかってたじゃん。
私をいきなり気に入って結婚って流れは、飽くまで私個人じゃなくて私という女の条件が彼に見合っていただけじゃない。
インドア派で読書が趣味の大人しい年下の女性。親同士が仲良しで身元も安心。華麗な恋愛遍歴も男遊びのクセもない。それが榊高晴の選んだ妻・私。
恋女房ってポジションじゃない。はぁ。納得してるのにため息が止まらない。

たぶん、私がショックだったのは、高晴さんが私の接近に理性を揺るがす気配すらなかったってこと。
結構仲良く暮らしているのに、女としては見ていないってはっきり突き付けられたこと。私、ナシなんだな~。

埒もなく同じことを考えてバカみたいと思いつつ、集中できないアニメを止めた。また日を改めて見よう。
ソファに背を預け、天井を仰いだ。

スマホを手にとり、なんとはなしに弟の祐樹にメッセージを送ってみる。

『女性の魅力とはなんぞや』

別に祐樹の意見で何か変えようというつもりはない。でも、私より圧倒的に恋愛経験豊富で、なおかつ夫と同じ性別・男。意見を聞いてみるのはアリではなかろうかと思うのですよ。
というか、祐樹以外に頼れそうな男性のツテがない。

昼時で休憩中だからだろうか、すぐに返事がきた。

『お姉様、早速ご主人とうまくいってないの?』

この言い草、腹立つな〜。
いやいや、猫の手も借りたくて連絡したのは私。

『うまくはいってるけど、もっと仲良くなりたいな〜って思ってるの』

余裕を持って返信する。安い挑発には乗らないわよ。幸せな新婚お姉さんは怒らない!

すると今度は電話がきた。
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