愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「じゃあ、あんたは胸派で、他にもヒップ派とか脚派とかいるのね」
「髪の毛派とか、手首派とか、二の腕派なんてマニアックなのもいる。ま、でも多くはケツか胸にグッとくるよな。姉ちゃんどっちもぺったんこだな……やべぇ、同情を禁じ得ない」

ぷふふと笑いをこらえる裕樹に私は怒りを飲み込んだ。怒らないぞ、私は幸せな新婚のお姉さん。夫には愛され、夫婦仲は円満です。自分に言い聞かせながら、声には笑みを滲ませ答えた。

「おっけ~。参考になったわぁ。まあ、安心して。私と高晴さん、夫婦仲ラッブラブエクスプロージョンだから!妙なご心配には及びませんので~!」
「爆発してんのかよ、こっわいな」

祐樹は馬鹿にしたように笑ってから、言った。

「お幸せに、お姉様~。家出したくなったら、福岡来いよ。匿ってやるから」

気楽な笑い声を耳に残し、弟は電話を切った。家出とか最後に不穏な単語をぶち込んで。

私はひとつ深呼吸をする。
裕樹には腹がたつけど、確かに参考にはなった。女であることを前面に出すには、やはりセックスアピールも必要なんだ。

見ていたアニメは一度ブラウザを閉じ、自社サイトに行く。
えーと、矯正下着があったはず。うちの店で扱ってるもの以外にも、ニケーは色々出してるんだから。

しかし、ボディスーツもヒップアップショーツも、加齢に伴って緩んできたボディラインを整えるものであって、私のニーズとは違う。

自社製品の中でもホールド力の強いブラジャーをチェックする。
フィッターの勉強もしたし、試着の時にお客様をサイズアップさせるの得意なんだよね。でも、私の技術をもってしても、自分の胸はBカップ以上にならない。
< 64 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop