愛され新婚ライフ～クールな彼は極あま旦那様～
雫には好きな男がいるのではないか。

この疑念は結婚当初からあって、俺を悩ませてきた。
雫には何かを隠しているような素振りがある。
時折携帯やパソコンの画面を眺めてうっとりとしている。俺が盗み見ていることも気づかないようで、熱心に液晶画面を眺めているのだ。好きな男から連絡がきているのかもしれない。

何度も携帯を見てしまおうかという悪い誘惑に駆られた。
しかし、どうにか踏みとどまっている。妻の浮気を疑って携帯を見るなんて駄目だ。
倫理的にいけないことだし、もしそのことが知られたら、浮気の真偽より先に信頼関係が壊れてしまう。

最近では早々に帰宅し、彼女の様子を探るようなことをしている。やましいことがあれば、ぼろが出るはずだ……なんて。
こんなやり方しか思いつかない女々しさが自分で嫌になる。

無邪気に妹のように寄ってくる彼女を、つい避けてしまっているのも問題だ。
彼女は家族として、俺に親愛を注いでくれていて、優しい情愛は感じられる。俺を見あげて隙だらけの笑顔を見せたり、風呂上りの無防備な格好で接近してきたりするのだ。

そんな雫を『可愛い』『俺の奥さんが可愛い』『抱き締めたい』『キスくらいはしたい』と欲求まみれの視線で見つめ返す俺がいる。
なんて浅ましいんだ。心の中で疑いながら、雫に恋心と下心をごちゃまぜの感情を向けているなんて。

結果、暴走しないように雫とは距離を置くのが常となってしまった。
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